幕ぎれ
ホロウ・シカエルボク


ぼくらは迷い子のように
ただ、佇んで
ゴダールの映画みたいに
長い長い言葉を
視線だけで話した
熱のない炎で
炙られるような
時だけが過ぎてゆき
やがて
思いは痺れてしまった

ああ
風のように
一瞬にはなれず
ああ
月のように
ゆっくりと操られ
いつかその
ぬくもりも
骨のかけらのように
押し寄せる明日の中に
埋没してしまうのだ

それが
願いだったから
二度とは
叶うことがない
ぼくらは
破れた旗のように
嵐のような記憶に煽られて

互いの心に
擦過傷を作り続ける


震えながら


自由詩 幕ぎれ Copyright ホロウ・シカエルボク 2022-09-04 02:31:53
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