ふりそそぐかなしいやわらかさ
かんな


混沌としている
私の名前を忘れないでいてね。
私の一部と一部ではない私と答えのない生きると生きられない言葉を
かなしみと涙と愛とどこにでもある正しさと数え切れない過ち
あたたかいひとがいると天使とやさしさと祈りと紡げないことばと
不思議なほうに夜は傾いて渦巻いて似かよって月はひとり泣いてる
うれしいのはヒトであること血が流れていること痛みがあることあたたかいこと知らないこと
からだが失われて一部はわたしではなくなる私を呼ぶときあなたは愛してほしい
夏の夜空の星は遠くて歩いていく天の川どこかに辿り着く
匂いの精液と恍惚と骨の音のかけらとふりそそぐかなしいやわらかさを刻むときに
そっと頭をなでていてね。
幼い私とさびしさと叫びとつなぎたい手とぬくもりと埋まらない穴とサラサラと落ちる砂の乾きと
うつくしいのかたちと匂いと色と触れることの意味を教えてほしい
しずかにしずかに終わっていく生きるをそれでもどうかちいさな祈りを果てしなくひろいひろい海からすくい取ってください
東へ太陽を少しでもかじって目をつぶろうとも耳をふさごうとも大地を蹴ってせめてもの抵抗を
やさしいヒトに会うと気づきわかることは私の数え切れない傷あととさびしさとそれでも枯れずに残っていた叫び声
伝わらなくともせめてもの救いと口にはできない愛と言葉とほんのすこしの間だけ飛ぶための羽根を落ちても羽根を休められる場所を
明日まで生きるための力を
今も歌いつづけて枯れることは涸れることはないから



自由詩 ふりそそぐかなしいやわらかさ Copyright かんな 2022-08-31 05:43:35
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