救助申請。真夏にやめろよ。
腐った女が雑居ビルの踊り場で。
ドアが半開きで見つけたのは身内。
最後の訪問は死亡推定時刻、同刻。
宗教法人”ありとあらゆる生命の犠牲の拒絶をアクシズとして、不勉強なる非信徒の絶命のたなびきたるを見てイウトピア（世界絶対平和の実現社会）に生きることを許される”構成員
田中 光俊（でのか たかし）

夜は気持ちのいい遮断による支配をなめらかに私達のポケットにねじ込んだ。
神の裁判が始まった。誰かが神を裁き始めた。
リズムを取りながらポケットを叩いた。
無意味な宣託が今、この星のどこかに降りようとしている。
腐った女の最後の足取り。
喋れない人形をつれて雪深い都市で。
仮面の従兄弟について何度も質屋で面倒を起こしていた。

救助申請。彼女はエーテル。
スライドする架空のエーテル。
通報したのは赤の他人。
死亡主因は出血、それも生半可な量じゃない。
なんにも彼女に残らなかった。多少は価値があったらしい。
ガラクタに嫉心していたらしい。黒ければ何でも良かったみたいだ。
黒いガラクタはいつも誰かが欲しがってる。


最近眠れるか？



最近いつ目を覚ました？



おい、
最近眠れてるのか？