あや
あらい

心模様は
              ゆったりと落ちて
              貼られた桟橋から
           ガラクタが投げ出された

でっぷりとしたぬいぐるみの釦を眺める

垂れ下がった鍵は
なみなみと
一つの舟が流されていった
澱んだ暗闇が訪れることはない

 それでも艶めかしさを、故人として黄昏れる

 一オクターブの凡てが途絶えたあとに残された
      路上に、だらしなく生かされている

傾斜に倒れ込んだ横顔はわたしとあなたを置いて

なお地表に太陽と月が混在する
ばらばらになったビーズの
ひとつひとつに名をピンどめする

   都会の喧騒を呑み込むように静粛に貶める
 一面記事も褪色する。その差額は乱雑な呪文に
溺れたキミとボクが手を伸ばしても追放された。


色を潤ませた燭台を利き腕に持ち、
観覧車も電飾も車のヘッドライトも、
  ただロマンチックな眼差しで捻じ曲げられる

             ピクリと潤んだだけ

  蜩はカナカナと凪いて無慈悲にたどり着いた

まあるいだけのガラス細工の
瞳に伝染る トワイライト


自由詩 あや Copyright あらい 2022-08-28 18:54:55
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