ヨランの挑戦(十二)
朧月夜
「愛とは、はかないものです、騎士様。あなたは見たところ、
騎士のようですね。違いますか? 勇猛果敢な人物だと見受けますが……」
「ああ、その通りだ。わたしは騎士だ。この身の名は……
いや、通名ではアイソニアの騎士と呼ばれている。クールラントの戦士だ」
「クールラント? それはいかなる世界ですか? この世界、
ハーレスケイドとは、きっと異なった世界なのでしょうね。この世界は、
異質な世界に対しても、その扉が開かれております。しかし、
最後に決するのは、『心』です。心ない者に、答えは与えられますまい……」
「『答え」とは何だ? それは魔法のことか? 宝物のことか?
お前は、いったい、我らに何を与えようと言うのだ?」アイソニアの騎士は、
一転してその女、オーマル・リケイディアに詰め寄るように言った。
盗賊ヨランは、しまった、という顔をする。エイミノアも。しかし、
それは杞憂であったようだ。女は冷静であった。まさにこの世界での、導き手のように。
「ならば、従いて来なさい、騎士よ。天がわたしに人間の体を与えたのも、そのためでしょう」
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クールラントの詩