写真
ryinx


藍い眼をした少女から貰った手紙
返信するのが面倒だから
読まずに放っておいてた。
心象の、現実の外側にある
見えていて、それでいて
目を閉じて、夏の熱気を
掻き消すかのように。

フラスコの中の、重金属
スープにクラウンをつくるのは
とてもきれいな光景で、
みんなにも見せてあげたいと
そう思ったけれど、
そのみんなが何処にも居ないから
あの子に見せてあげようと思った。

一滴一滴、零れ落ちていくのを
ただ見ていた。その子は無言で
なにしているの、そう言った。
銀色の鍋の中で、青や朱に色を変える。
生活のなかの、不思議な光景を
そうしてレンズに収める。

これを飲んでみたらどうなるのか
人の身体も色彩を変えるのかな。
私は化学者になった気分で、
鍋から小匙に移して、口に含む
その咄嗟に彼女は頬を弾いた。
私は大切なことを邪魔された

「そういう風にしないで
「じゃあ帰って

そう言って、その子の眼が赤くなってるから
魔法みたいって思って、
その光景をフレームに収めるために
機材をとりだそうとしたら、
もうぐったり疲れていたから
ブラインドをあけて、外の光

室内に
   流れて

眼を閉じたら
      少女の声が

光のそのまだらな帯が

   まるで虹のようで





自由詩 写真 Copyright ryinx 2022-08-27 00:37:51
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