祝福の瞬間と君
ひだかたけし

木々の枝葉が微かに揺れている

風が吹いているのだな

濃緑の群れが青空に美しく浮き出すように

さわさわ さわさわ 揺れ動く

熱い微風が風景をかき混ぜ

世界は光景となり立ち現れる

二階のベランダから凝視するそれは

いつか私を包み込み

世界の光景の一部分とする

今、
私は世界に抱擁され
私は世界に含まれている

これ以上のものはどこにもない
これ以上の歓びはどこにもない

  *

この祝福の瞬間に
君が居ないことを
私は寂しく思う


自由詩 祝福の瞬間と君 Copyright ひだかたけし 2022-08-21 18:28:12
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