乾いた夏の日
ひだかたけし

小さな手、
小さな手を差し出して
二人、手を繋ぎ行く川沿いの道

あれはとても乾いた夏の日、
おまえは水が飲みたいと言った
おれは川の水を両手のひらに掬い
おまえの口許に持っていった

おまえはごくごく飲んだ
とても美味そうにごくごく飲んだ
おまえの屈んだその姿はとても小さく密やかで
おれはこの瞬間を永遠に心に焼き付けた

揺れる陽の光、大洋へ流れゆく水

今は一人、夏の陽を浴び歩き進む
夢のように溢れる愛の思いに包まれ
握った手と手の温もりを思い出し

握った手と手の温もりを抱きしめ






自由詩 乾いた夏の日 Copyright ひだかたけし 2022-08-16 19:44:17
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