盗賊ヨランとの契約(三)
朧月夜

「お前の言っていることはよく分からない。いつもそうだった。
 お前は単なる盗賊ではなく、賢者のような知恵を持っている。
 どこからその自信が現れてくるのか? この旅における目的と確信とは?」
アイソニアの騎士は、次第にヨランの考えに感化されていくようであった。

「人生とは、常に闇の中を進む光のようなものです。
 結果は結果。しかし、それに対して精一杯足掻いて見せる、
 ということが必要なのです。騎士殿。わたしどもに協力してくださいますね?
 エインスベル様の命の継続は、この世界を救う力をもたらすものなのです」

「ハーレスケイド、とお前は言ったな? そこはいかなる世界なのか?」
「わたしにとっても、ハーレスケイドというのは未だに未知なる領域です。
 しかし、そこは通常の幽冥界とは異なる世界だと言われています。人為的な幽冥界だと」

「人為的な幽冥界? この世界ヨースマルテには、様々な世界が存在している。
 一つの世界を作り出すことなど、人間にとって可能なのか?」
「ハーレスケイドを作ったのは、果たして本当に人間でしょうか?」ヨランは笑った。


自由詩 盗賊ヨランとの契約(三) Copyright 朧月夜 2022-08-14 18:01:17
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