赦してください
静
今、私は窓を見上げて
あの時と同じ雲の流れを見てる
積乱雲は夏の雨を呼んで
ふと蝉の声が薄くなっていく
何年の時が経ったのだろう
鮮やかな命の傷みを刻んで
あの夏の川縁で分かち合った
その奇蹟を生きる糧としながら
幾つもの袖に触れてきた
切なさはその度に涙を生む
私はまだ前に足を運んでいる
次の逢瀬で互いの今を愛すために
時々それでもふと思い出す
私の弱さを赦してください
生きるために必要な景色が
夏の宵闇に縁取られたのだから
自由詩
赦してください
Copyright
静
2022-08-14 17:04:34