アイソニアの騎士の決断(六)
朧月夜

「いいでしょう。行ってきなさい、アイソニアの騎士よ。
 アースランテ王朝の貴族の娘、イリアス・ナディとして、
 あなたに命じます。あなたのなすべきことをなしてください。
 この国、アースランテは、今やあなたの手腕にかかっています。
 
 あなたがクールラントの国に帰化するのであれば、それを止めはしないでしょう。
 わたくしは貴族として、あなたの身の上を案じます。
 それは国家のためでもあり、わたくし自身のためでもあります。
 この国の繁栄、そして復活は、あなたの手にかかっているのです」

アースランテの高貴な貴族の娘、そのような事情は今まで周到に隠されていたものであった。
アイソニアの騎士は戸惑う、「アースランテ国王は何を考えているのか?」と。
しかし、「しかと承りました。姫様。わたしは今では真にアースランテの人間です」。

アイソニアの騎士は確固とした口調で言った。今ほどの、秘密の開示。
それは、ひとえにわたしのみに許されたものであったろう、と信じるに足りたのである。
(ナディ家とはいかなる家系なのか……)。彼も今、大いなる陰謀に巻き込まれようとしていた。


自由詩 アイソニアの騎士の決断(六) Copyright 朧月夜 2022-08-13 17:04:05
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クールラントの詩