アイソニアの騎士の決断(六)
朧月夜
「いいでしょう。行ってきなさい、アイソニアの騎士よ。
アースランテ王朝の貴族の娘、イリアス・ナディとして、
あなたに命じます。あなたのなすべきことをなしてください。
この国、アースランテは、今やあなたの手腕にかかっています。
あなたがクールラントの国に帰化するのであれば、それを止めはしないでしょう。
わたくしは貴族として、あなたの身の上を案じます。
それは国家のためでもあり、わたくし自身のためでもあります。
この国の繁栄、そして復活は、あなたの手にかかっているのです」
アースランテの高貴な貴族の娘、そのような事情は今まで周到に隠されていたものであった。
アイソニアの騎士は戸惑う、「アースランテ国王は何を考えているのか?」と。
しかし、「しかと承りました。姫様。わたしは今では真にアースランテの人間です」。
アイソニアの騎士は確固とした口調で言った。今ほどの、秘密の開示。
それは、ひとえにわたしのみに許されたものであったろう、と信じるに足りたのである。
(ナディ家とはいかなる家系なのか……)。彼も今、大いなる陰謀に巻き込まれようとしていた。
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クールラントの詩