アイソニアの騎士の決断(二)
朧月夜
アイソニアの騎士は居室で佇んでいた。そこに取り縋った者があった。
イリアス・ナディである。彼女は言った、
「グーリガン様、あなたは今どこへ行こうとしているのですか?
あなた様は、わたしにはいつもの表情ではないように、見受けられます」
「何、ちょっとした冒険の旅です」アイソニアの騎士は、さりげなく躱そうとする。
「嘘です。あなたは今、命を懸けた戦いに臨もうとしています。
わたしには分かるのです。あなたの表情で、沈黙で。
わたしを置いていかないでくださいませ。グーリガン様」
「姫。わたしは、グーリガンなどではないのです。元はクールラントの騎士、
人々からは、『アイソニアの騎士』と呼ばれておりました」
「あなたが……あのアイソニアの騎士?」イリアスは息を呑んだ。
アイソニアの騎士は、恐ろしい人殺しだと言われている。
今まで何人の人間を葬ったのか。そして、ドラゴンを退治したという噂まである。
「わたしは、あなたの武勇を信じます。しかし、あなた様は決して悪人ではありません!」
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クールラントの詩