アースランテのヨラン(四)
朧月夜

「お前はここで何をしている?」アイソニアの騎士は、腰の剣に手をかけた。
祭祀クーラスがエインスベルを処刑しようとしている今、
クールラントの裏切り者であるアイソニアの騎士に対して、
刺客が振り向けられることは、当然のことであった。

しかし、なぜヨランが? そして、エインスベルの側近であるエイミノアが?
アイソニアの騎士は即座に答えを出せなかった。
先日のクールラントからの早馬も、アイソニアの騎士を動揺させていた。
「今さら、何の用だ。盗賊ヨラン?」アイソニアの騎士は、懐疑に駆られて尋ねる。

「あなたは今、エインスベル様のことをどうお思いですか?」
ヨランが、アイソニアの騎士の気迫には動じずに、問いをかける。
「どう? エインスベルは処刑されるのだろう? わたしにはどうすることも出来ない」

「そうでしょう。ですが、あなたを含めて、我らがエインスベル様を助けるというのは?」
「何? そんな方法があると言うのか?」アイソニアの騎士は剣から手を放して、尋ねた。
「はい。ございます。あなたには、これから幽冥界へと赴いてもらいます」  


自由詩 アースランテのヨラン(四) Copyright 朧月夜 2022-08-11 16:28:05
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クールラントの詩