アースランテのヨラン(四)
朧月夜
「お前はここで何をしている?」アイソニアの騎士は、腰の剣に手をかけた。
祭祀クーラスがエインスベルを処刑しようとしている今、
クールラントの裏切り者であるアイソニアの騎士に対して、
刺客が振り向けられることは、当然のことであった。
しかし、なぜヨランが? そして、エインスベルの側近であるエイミノアが?
アイソニアの騎士は即座に答えを出せなかった。
先日のクールラントからの早馬も、アイソニアの騎士を動揺させていた。
「今さら、何の用だ。盗賊ヨラン?」アイソニアの騎士は、懐疑に駆られて尋ねる。
「あなたは今、エインスベル様のことをどうお思いですか?」
ヨランが、アイソニアの騎士の気迫には動じずに、問いをかける。
「どう? エインスベルは処刑されるのだろう? わたしにはどうすることも出来ない」
「そうでしょう。ですが、あなたを含めて、我らがエインスベル様を助けるというのは?」
「何? そんな方法があると言うのか?」アイソニアの騎士は剣から手を放して、尋ねた。
「はい。ございます。あなたには、これから幽冥界へと赴いてもらいます」
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩