アースランテのヨラン(二)
朧月夜

「お前の言葉には、根拠というものが欠けている。
 お前はすべてを自分の思惑通りに、そして、感性に従って、
 行動しているのではないか?」エイミノアの疑念はさらに増した。
「いいえ、あなた様にも分からないことが、世の中にはあるのです」

「それがアイソニアの騎士の思惑ということか? 信念ということか?」
「はい。アイソニアの騎士には、エインスベル様を救いたいという思いがあります。
 わたしどもは、それを利用するのです」ヨランは言う。

「しかし、アイソニアの騎士には、今、イリアス・ナディという婚約者がおります。
 ですが、それは本当の恋ではないのです。アイソニアの騎士の想いは、
 つねにエインスベル様に向けられております。そこには……」

「いったい、何だと言うのか?」
「アイソニアの騎士は、ひとつの想いに駆られております。
 それは、世界とエインスベル様を救いたいという想いです」  


自由詩 アースランテのヨラン(二) Copyright 朧月夜 2022-08-10 01:48:55
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩