unrestrained 朝
mizunomadoka


この町に置いてきた
一つの恋
今なら偶然だって分かる

物語の世界に生まれてたら
それは運命で
何度だって死ねたのに

別れを切り出して
取り消そうとして断られた赤い橋

卒業したら会えなくなるんだよ?
そんな呪文は通じなかった

私たちの心の中にはもう一つの世界があって
そこの人々は私たちの夢を見るらしい

ハッピーエンドで終わるのよ!
そう言って駆け出したあなたの手を、私も強く握り返して走った
息も切れず空も飛べそうだった

目が覚めると
ベッドだけの部屋
古いエアコンの絶え絶えな風

帰ってくる母のためにパンを焼き
ホースで水をまく

庭の夏野菜に
小さな虹







自由詩 unrestrained 朝 Copyright mizunomadoka 2022-08-02 20:42:50
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