大嘘
やまうちあつし

よりよい幽霊になりたくて
悪い橋を何度も渡り
金色の蟻たちを埋葬してきた
完璧な駅
にわか雨の神
遠くから聞こえる近眼
ハレルヤ、ハレルヤ、
零がどんどん溢れ出す
無限大まで少し足りない
苦い砂糖の一粒一粒が
コーヒーカップに堕ちてゆく
暗黒大陸の明後日に
ひそやかな虹がかかるだろう
一昨日の古代魚が
最新機種で自撮りするだろう
泣き笑いから笑い泣きまで
5億秒
(それと4分33秒間の沈黙)
届かない声が一番届く
ハレルヤ、ハレルヤ、
透き通る青色の嘘を持ちたい
よりよい幽霊になりたくて
風上からこめかみを貫く
夜光列車を待っている


自由詩 大嘘 Copyright やまうちあつし 2022-08-02 10:54:31
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