ヌード(改訂)
ひだかたけし

冷え切って
毒づいて
虹のかかる遥かな空を
大きく両腕を広げ渡っていく
君が悪いわけじゃない
僕が間違ったわけじゃない
ただ人々が佇立する
ただ独り独りひざまづく
神妙に、繰り返し繰り返し
眩暈する光景が
薄紅を引いて流れ
今夜こそ内なる根源へと
ゆっくり揺らめき急いている

包み込むような孤独な声は
彼女のヌードに覆い被さり
次第次第に侵犯していく
巻き戻し不可能なビデオテープのように
永遠に回り続けるビデオテープのように
磨り減っていく、
彼女のヌードは痛々しい
磨り減っていく、
彼女のヌードは神々しい

冷え切って
毒づいて
虹のかかる遥かな空を
大きく両腕を広げ渡っていく
いずれ明らかになるだろう
せり上がる死の予感を
この揺らめく音韻に乗せ
内なる底無しの宇宙へと
内なる永遠の本質へと

  *

虹の彼方に
知覚と思考が作動し交わり合い
生々しい実在の世界が立ち上がる









自由詩 ヌード(改訂) Copyright ひだかたけし 2022-08-01 18:12:25
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