どこまでも
竜門勇気


祈る人を踏みつけて
列車を待ってる
壊れた調味料入れを
ひっくり返して
パンくずを食べている

どこまでも
膿んでいる
どこまでも
膿んでいる
初めての夏の中で
うろたえて、膿んでいる

大きな木は大きいだけ
小さな木は小さいだけ
さっき生まれたみたいにきれい
じゃあさっきできたんだろ

土の中に死骸を埋める
川の底に天使を植える
日差しが強い今日みたいな日
うってつけの今日みたいな日

どこまでも
膿んでる
膿んで
かえって清潔にすら感じる
無菌室の底で
得体のしれない生き物が生まれてる

どこまでも
死んでいる
どこまでも
膿んでいる
かえって清潔な不浄の中で
どこまでも歩いていける

どこまでも
噛んでいる
どこまでも
臭ってるから
かえって綺麗な腐敗が
どこまでも歩かせる



自由詩 どこまでも Copyright 竜門勇気 2022-07-30 11:52:47
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