コンタクト
ひだかたけし

霞んだ滲んだ奥底から
仄かに姿を現すもの

深い、深い
海の底にいるように

無音のうねり
無音の夜

限りない広がり
限りない響き

忘却と思い出の狭間に立たされて

奥行きが消えていく
残響を刻み

溶け入るように降る雨
哀しみ湛え

異邦の海に降り注ぎ

たましいの奥底を洗う
たましいの奥底を掬う

死が庭にたたずんでいる
優しい無関心の世界の疼き

時間を超えた深い独りに在り
内なる対話をするものは未だ現れない








自由詩 コンタクト Copyright ひだかたけし 2022-07-23 17:29:48
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