金貨
やまうちあつし

おかえり
やってくるものたちよ
君らのことは
昔から知っていた
真っ赤な顔して
小さな手足をぐーぱーしていたころから
思えばそのころ
宇宙のすべてを知っていたはず
だんだん忘れたわけなのだ
生活のことや欲望のことで
いつしかいっぱいになり
おかえり
初めてやってくるものよ
あらゆるものは
決められたところに戻るだけ
だからなつかしい
忘れると思い出すとは
大事な金貨の裏と表だ
泣くことはない
笑うほどのことでもないけれど
ただ
手を振るといい
おかえり
二度とはまみえぬものたちよ


自由詩 金貨 Copyright やまうちあつし 2022-07-18 19:41:03
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