リアル
ひだかたけし

黄昏の光を受け
よろめく羽虫は
遠い木霊のなか
孤独と静謐に留まる

変わりゆくすべてに
変わらず沸き立つもの
遠く木霊する声
異様に絡み合い
広がる宇宙の輪郭を
響きのなかに伝える

独りの夜を掘り起こせ
独りの闇をくつがえせ
心の奥底に沈み込み

表層を滑り落ちていった愛
相変わらず続く病みの日常
死は緩慢に唐突に近付き
埋葬する棺を次々用意していく

羽虫は黄昏の光を受け
奇跡のように飛び立つ
自らの内に渦巻く宇宙へ
自らの深淵に眠る生々しさへ
よろめきながら、揺らめきながら

深い深い闇のなか
一閃する光に臨み
成就されぬ愛を呼び起こし











自由詩 リアル Copyright ひだかたけし 2022-07-17 19:04:32
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