詩の日めくり 二〇二〇年十二月一日─三十一日
田中宏輔

二〇二〇年十二月一日 「年間SF傑作選7」


 きょうから、寝るまえの読書は、『年間SF傑作選7』の再読である。これは4作ほど憶えていた。バラード、ラファティ、ボブ・ショウ、バロウズの作品だった。 https://pic.twitter.com/AQiRquzZqv


二〇二〇年十二月二日 「シネ魔術師」


 日知庵からの帰り道、セブイレで缶チューハイ2缶買って、部屋で飲みながら、文学極道とビーレビに投稿されている詩作品を眺めていた。詩という形式を選んでいるけれども、小説の方向でもいいのではと思える作品がいくつかあった。小説は、詩よりも集中度を求めるから、ぼくは書くのは苦手だけれども。

 Amazon で、自分の詩集の売れ行きを調べていたら、書肆山田からさいごに出した『The Wasteless Land.VII』が古書で売れていたことがわかった。引用を駆使した作品を集めた詩集だった。古書でも、売れて、うれしい気持ちである。
https://www.amazon.co.jp/Wasteless-Land-7-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E5%AE%8F%E8%BC%94/dp/4879958565/ref=sr_1_1?dchild=1&qid=1606838921&s=books&sr=1-1&text=%E7%94%B0%E4%B8%AD+%E5%AE%8F%E8%BC%94

 1作目は、テューリ・カプファーバーグのSF詩「シネ魔術師」ぜんぜんつまらなかった。

 これから、近くのスーパー、「ライフ」に行って、昼ご飯と晩ご飯にする、「のり弁」を買ってこよう。休みの日は、いつも、このパターン。「のり弁」は2種類あって、アジのフライと、白身魚のフライと、2種類買ってくる。

 いま帰ってきた。白身魚のフライの「のり弁」はやめて、「太巻き寿司」にした。帰りに、セブイレで、ほうじ茶を買った。ぜんぶで、1000円以内で買えた。

 2作目は、ハーヴィー・ジェイコブズの「浮世離れて」俳優と女優が海辺の邸で暮らしている。巨大な怪物が海から上陸して二人を襲うが、怪物はためしに男の指を食べたが、まずかったので、二人を襲うのをやめた。その代わりに、二人を取材に来た記者を車ごと食べて海に戻っていった。

 3作目は、キッド・リードの「肥育学園」太った少女が減量学園に放り込まれる。彼女は体重が落ちていく。ポップ・スターが学園に訪れる。彼女の太っていたころの写真を手に入れる。彼はデブ専だったのだ。彼女はやせてしまっていた。彼女は代わりに少女たちを太らせて彼のまえに連れて行く。


二〇二〇年十二月三日 「気球」


 4作目は、ドナルド・バーセルミの「気球」市の一部を覆うほどに巨大な気球が街に出現する話。ひとびとは、その気球になれ、平穏無事に事はすみ、さいごに気球も片づけられる。

 詩論集『『マールボロ。』の詩学』が Amazon でも買えるようになりました。よろしくお願いします。
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二〇二〇年十二月四日 「コーラルDの雲の彫刻師」


 5作目は、J・G・バラードの「コーラルDの雲の彫刻師」タイトル通り、雲を彫刻する男たちの物語。巨大な幼児の顔。大富豪の女性の顔。さまざまなものが彫刻される。作品は彫刻師のふたりの死という悲劇のなかで終わる。短編連作集『ヴァーミリオン・サンズ』に入っていた作品で、もっとも印象に残っている作品だった。


二〇二〇年十二月五日 「ルアナ」


 日知庵からの帰り道、セブイレで缶チューハイを2缶買って、いま、部屋で飲んでいる。おみやげにもらった卵焼きとポテサラがおいしい。あしたは、溜まっている洗濯物を洗濯しなくちゃ。あしたしなければならないのは、ただそれだけ。

 6作目は、ギルバート・トマスの「ルアナ」宇宙から持ち帰った胞子を秘密に育てていた博士がいる。胞子は巨大なキノコとなった。博士はキノコを彫刻して女体にして、ルアナと名付けた。博士はルアナを愛した。博士の同僚の外科医がキノコを食べて死ぬところで終わる。毒キノコだったのである。

 7作目は、テューリ・カブファーバーグの「W-A-V-E-R」SF詩である。ましなほうである。ラジオ局が一時間の沈黙を放送したら、白紙の抗議文がごまんと郵送されてきたのだが、どれにも切手が貼ってなかったため燃やされた。燃やされた場所に新しいラジオ局ができた。放送するのは大気雑音だけだった。

 Amazon で、古書で、SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫SF) を買った。送料込みで930円。新刊本で買っておいたほうがよかったな。
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二〇二〇年十二月六日 「フレンチー・シュタイナーの堕落」


 8作目は、ヒラリー・ベイリーの「フレンチー・シュタイナーの堕落」第二次世界大戦で、イギリスがドイツに占領されているパラレルワールドもの。ヒットラーに予言を告げることができる娘がイギリスで失踪してから一年、ヒットラーは彼女の行方を追っていた。最終的には彼女はヒットラーの手を逃れた。

 9作目は、ボブ・ショウの「去りにし日々の光」スロー・ガラスというアイデアで、ぼくがはじめて読んだものだった。光がひじょうにゆっくりと通るガラスのことで、厚さによって十年分の風景でも映し出してくれるものである。物語は売り手の家族の悲劇を現わしているけれども、静謐な感慨を呼び起こす。

 10作目は、ジョージ・マクベスの「山リンゴの危機」隣り合う一家同士の喧嘩。つまらないことで石を投げつけ合ったりする。ただそれだけの作品。SFでもなんでもない。


二〇二〇年十二月七日 「カミロイ人の初等教育」


 11作目は、R・A・ラファティの「カミロイ人の初等教育」天才児童たちをつくるための教育プログラム。


二〇二〇年十二月八日 「海東セラさん」


 海東セラさんから、詩集『ドールハウス』を送っていただいた。緻密で繊細な散文詩の集積だ。ぼくには書けそうにないほどに緻密な表現が連綿とつづく。それだけでもある種の美が見られる。 https://pic.twitter.com/ERbZ5AJtPz


二〇二〇年十二月九日 「宮坂 新さん」


 12作目は、ソーニャ・ドーマンの「ぼくがミス・ダウであったとき」一つの性だけをもつ不定形な蛋白質生物である種族のひとりの物語。タンクに入ってある女性のパターンを吸収する。地球人の女性そっくりになるぼく。わたしともいう。さいごは自分の自由な姿にもどることができた。わけわかめの物語。

 13作目は、トマス・M・ディッシュのSF詩「地球見物」タイトル通りの作品。さいごの連

きのうぼくはイタリアを訪れた──ローマ、
フィレンツェ、ヴァニス、有名な教会と
博物館。見おとしたものはほとんどない。
だが明日は、やれやれ、故郷へ帰れる。
             (大谷圭二訳)

 14作目は、ブライアン・W・オールディスの「コンフルエンス」惑星ミリンの住民たちの言葉の辞典。辞典形式の小説。

 宮坂 新さんから、詩集『ナガレミが鳴きだす頃までに』、『落下する速度』、『six』および、同人詩誌『オオカミ34号』、『id:02』、『id:06』を送っていただいた。同人詩誌のほうは、知ってるお名前の方が多い。こんなにたくさんの現代詩はひさしぶりだ。楽しませていただこう。ありがたいことだ。 https://pic.twitter.com/BiOZz4uNIU


二〇二〇年十二月十日 「せまい谷」


 Amazon で、ネット古書店で買った『SFマガジン700【海外篇】』が届いた。カヴァーにちょっとしたスレがあるけれど、並の状態の本かな。送料別で、580円だったから仕方ないか。いつ読むのかわからないけれど、積読状態だ。
https://pic.twitter.com/Ew7wZzb6la

 15作目は、R・A・ラファティの「せまい谷」2メートルほどの幅しかない谷に、800メートルの幅があるように見える魔法がかけられた。逆だ。800メートルの幅がある土地が見かけ上、幅2メートルほどにしか見えない土地がある。インディアンが魔法をかけたのであった。


二〇二〇年十二月十一日 「おぼえていないときもある」


 16作目は、ウィリアム・バロウズの「おぼえていないときもある」警官に捕まったと思ったら、捕まえられた方が連邦警察官だったりする話。「広場がカチッと焦点をとりもどした。」(大谷圭二訳)という言葉がとくに印象的に残る。

 17作目は、フリッツ・ライバーの「冬の蠅」主人と夫人とひとり息子の幼子がいる居間。父親が夢想のなかで見る黒いフラノや黒い道化師、黒い娘や黒い老婆、それに哲人や死神。狂気一歩手前の父親の夢想と、それに関わりなく営まれる妻や子どもの姿が交互に描かれる。


二〇二〇年十二月十二日 「『マールボロ。』の詩学」


 詩論集『『マールボロ。』の詩学』が Amazon でも買えるようになりました。よろしくお願いします。
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二〇二〇年十二月十三日 「2000年代海外SF傑作選」


 さいごの18作目は、サミュエル・R・ディレーニイの「スター・ピット」宇宙船の修理工場を経営している男が主人公である。ゴールデンと呼ばれる精神病者たちだけが行ける宇宙がある。物語は、要約できるほど単純なものではない。いい感じの読後感だ。中篇くらいの長さだったが、飽きなかった。

 ディレーニイのがさいごだと思っていたが、あとひとつ19作目が残っていた。テューリ・カブファーバーグのSF詩「個人主義」原子爆弾が、弾丸になりたがったという話。なぜだか仲間の爆弾に訊かれてこう答える。「物たりないのさ」

 きょうから、寝るまえの読書は、『2000年代海外SF傑作選』だ。最新の短篇SF傑作選だ。楽しみ。 https://pic.twitter.com/AZr5YAaRVm

 1作目は、エレン・クレイジャズの「ミセス・ゼノンのパラドックス」二人の女性がレストランでケーキを切り分けるだけの話。超細かく切り分けるのだけれど。おもしろくなかった。


二〇二〇年十二月十四日 「懐かしき主人の声(ヒズ・マスターズ・ボイス)」


 2作目は、ハンヌ・ライアニエミの「懐かしき主人の声(ヒズ・マスターズ・ボイス)」自分の独立国家で、自分のクローンを一万体つくろうとした男が、自分のひとりのクローンの裏切りに合って、処刑されたのだが、その男を主人とする犬と猫によって、救い出される物語。おもしろかった。

 3作目は、ダリル・グレゴリイの「第二人称現在形」ドラッグで自我を焼失した少女の物語。新しい人格が定着される。もとの人格を取り戻してくれることを希望する両親。自分がもとの自分ではないと自覚している新しい娘。もとには戻れない。


二〇二〇年十二月十五日 「スロー・リバー」


 SFマガジン2月号・百合特集号が予約が多くて、増刷につぐ増刷だそうで、時代は百合、レズビアンなのね。ぼくは、ニコラ・グリフィスの『スロー・リバー』を最高のレズビアンSFだと思っているんだけど、だれも『スロー・リバー』について言わないのは、どうしてだろうか。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%BC-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9-%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9/dp/4150112258


二〇二〇年十二月十六日 「夜の声」


 ウィリアム・H・ホジスンの『夜の声』がいま、いくらくらいするか、Amazon で見たら、9755円もした。映画『マタンゴ』の原作が入っていて、幻想文学を読むなら、おすすめだけれど、ちと高い。復刊すべき書物であろう。
https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%9C%E3%81%AE%E5%A3%B0-%E5%89%B5%E5%85%83%E6%8E%A8%E7%90%86%E6%96%87%E5%BA%AB-536%E2%80%901-W%E3%83%BBH%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%B3/dp/4488536018/ref=sr_1_10?dchild=1&qid=1608112368&refinements=p_27%3A%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%B3&s=books&sr=1-10&text=%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%B3

 4作目は、劉慈欣の「地火」炭鉱労働のひどさを、技術革新の面からひるがえって見たもの。20世紀初頭から中葉までの劣悪な労働だった炭鉱労働に新しい技術がもたらせた功績を、中心に、その経過のひとつに大事故をはさんで見つめさせる物語だった。


二〇二〇年十二月十七日 「シスアドが世界を支配するとき」


 5作目は、コリイ・ドクトロワの「シスアドが世界を支配するとき」同時多発テロや世界戦争のために、ほとんどの人間が死んでしまった状況で、生き残ったシスアドがネットを使ってなんとか世界を再建しようとする話。

『90年代SF傑作選』下巻のほうがさきに届いた。並かな。1704円(送料込み) https://pic.twitter.com/yvggbFsKYN


二〇二〇年十二月十八日 「コールド・ウォー」


 日知庵からの帰り道、セブイレで買った缶チューハイを、日知庵でいただいたおでんを肴に飲もうっと。帰ってきたら、郵便ポストに、『2010年代海外SF傑作選』が届いてた。新刊本だ。きれいだから、うれしい。
https://pic.twitter.com/bidRo4eJi7

 6作目は、チャールズ・ストロスの「コールド・ウォー」米ソ間のみならず中東も絡んで、世界戦争になるというところに、異星とのトンネルが見つかって、それも6個も、そこには人間が生息できないようなものがあって、世界は終わりを迎えるところで、物語は終わる。おもしろさはなかった。

 7作目は、N・K・ジェミシンの「可能性はゼロじゃない」ニューヨークで、確率的にはゼロに近い減少がつぎつぎ起こる。ただそれだけ。

 8作目は、グレッグ・イーガンの「暗黒整数」数学定理の証明が異なる別の数学体系の宇宙との、数学を用いての戦争。いったんは終息した。おもしろかった。

 さいごの9作目は、アレステア・レナルズの「ジーマ・ブルー」惑星規模の巨大な作品までつくってしまうジーマという名前のアーティストが使う青色の意味が明かされる。意外なことに、ジーマはもとは人間ではなかった。プール掃除用のロボットだったのである。青はプールの色だった。というわけ。


二〇二〇年十二月十九日 「2010年代海外SF傑作選」


 きょうから、寝るまえの読書は、『2010年代海外SF傑作選』。楽しみだ。 https://pic.twitter.com/YZlP41Z3yt

 1作目は、ピーター・トライアスの「火炎病」突然、目に見えるものが青い炎に包まれて見える病気が発生した。主人公は火炎病になった兄をなんとかしたいと思っている青年。研究していくうちに、異次元の生物がネットを通じて人間とコミュニケーションをしたくてしたことだったことがわかる。

 2作目は、郝 景芳の「乾坤チェンクン亜力ヤーリー」子どもから学ぶように命じられたAI。子どもは3歳半。ダークエネルギーのことを尋ねられたAIは、宇宙に向けて1300機もの飛行物体を飛ばした。子どもは航空宇宙機関から特別貢献賞を与えられる。


二〇二〇年十二月二十日 「ロボットとカラスがイーストセントルイスを救った話」


 3作目は、アナリー・ニューイッツの「ロボットとカラスがイーストセントルイスを救った話」タイトルの通り、衛生局のロボットがカラスと協力して、病気の人間たちを助ける話。この話に出てくる人間たちは、なかばホームレスのような人間たちのこと。なかなか好感の持てる話だった。

 4作目は、ピーター・ワッツの「内臓感覚」Googleの文字を見ると狂暴化する事件が相次ぐ。腸内細菌のせいなのか。それを調べにきた調査官もGoogleから派遣されたのであるが、スケープゴートとしてGoogleが狙われたかのようにGoogle側が仕掛けたのかもしれない。さいごはわからない。


二〇二〇年十二月二十一日 「プログラム可能物質の時代における飢餓の未来」


 5作目は、サム・J・ミラーの「プログラム可能物質の時代における飢餓の未来」ポリマーでできた怪獣が跋扈する近未来の世界で、ゲイの主人公が付き合っていた恋人が浮気をするのを目撃したが黙っていた。後に恋人は災難で死に、恋人の浮気相手は盲目になり、彼を殺そうとするが殺せず、セックスする。

 6作目は、チャールズ・ユウの「OPEN」これはSFではなく散文詩だ。彼と彼女がいて、ふたりの部屋に door という単語が浮かんで、翌日には、それが本物のドアになっていて、そのドアをくぐる自分たちというのと、こちらにいる自分たちというものの区別があって、というわけわかめな物語。

 7作目は、ケン・リュウの「良い狩りを」中国人の妖怪退治の跡継ぎだった少年が、蒸気機関車に関する機械を扱う仕事について、機械いじりの能力を高めていく。やがて、かつて出合った妖怪の娘と再会したのだが、彼女の身体は機械になっていた。青年は、彼女の機械の身体を完璧なものとする。

 8作目は、陳 楸帆の「果てしない別れ」脳の病気にかかって植物人間状態に近くなった主人公が、政府の依頼で、深海生物との意思の疎通を頼まれるというもの。主人公には妻がいて、ミッションのつどその妻との思い出が思い出される。さいごは主人公が植物人間状態から脱して妻と暮らすところで終わる。
 
9作目は、チャイナ・ミエヴィルの「〝  〟」無についての考察である。

 きょう、Amazon のネット古書店に注文していた『90年代SF傑作選』上巻が届いた。並の状態かな。いつ読むかわからないけれど、いま読んでる『2010年代海外SF傑作選』を読み終わったら、『80年代SF傑作選』上下巻を読むつもりだから、そのあとかな。 https://pic.twitter.com/XhQkc6oejU

 10作目は、カリン・ティドベックの「ジャガンナート──世界の主」マザーとよばれるものの内部に子が生まれ育つ。マザーは食料を見つけられず死ぬ。子のひとりが、マザーの外に出る。マザーとは別の生物に出合い、その生物の子らを口にする。走って筋肉を伸ばしたいと望むところで物語は終わる。ジョン・ウインダムの「蟻に習いて」を思い出してしまった。似た設定だが、「蟻に習いて」では男がひとりも生まれてこない世界だった。


二〇二〇年十二月二十二日 「柴田 望さん」


 さいごの11作目は、テッド・チャンの「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」ネット・ゲーム上の動物たちを可愛がっている主人公たち。その動物たちの運命の物語。バージョンアップさせるために必要な資金をどうやって得るか。一体の動物がネット上でのセックス・ドールとして売り渡される。

 きょうから、寝るまえの読書は、『80年代SF傑作選』上巻。どれだけ、ぼくを楽しませてくれるだろうか。 https://pic.twitter.com/uNPoVUfw6f

 柴田 望さんから、同人詩誌『フラジゃイル』第10号と、二宮清隆さんの詩集『海へ』と、「地域からの発信」という文章が掲載された本のなかの本文のコピーを送っていただいた。二宮さんの詩集、実話っぽいところに目が惹かれる。 https://pic.twitter.com/MSRGeOf8uj


二〇二〇年十二月二十三日 「ニュー・ローズ・ホテル」


 1作目は、ウィリアム・ギブスンの「ニュー・ローズ・ホテル」主人公がサンディーという名の女性に時折、呼びかける二人称形式の物語。なにやらヤバい商売の話で、ウィルスが関係している。雰囲気はダークだが、詳細はわからない。SFかどうかも。


二〇二〇年十二月二十四日 「暗黒神ダゴン」


 Amazon のネット古書店で、創元推理文庫から出てた『暗黒神ダゴン』を買った。本棚を見てもなかったからだ。買っておいたはずなのだけれど、見当たらないということは、だれかに譲ったということだ。表紙が好みだったのに。148円だった。(送料別)
https://www.amazon.co.jp/%E6%9A%97%E9%BB%92%E7%A5%9E%E3%83%80%E3%82%B4%E3%83%B3-%E5%89%B5%E5%85%83%E6%8E%A8%E7%90%86%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%9A%E3%83%AB/dp/4488523129/ref=sr_1_10?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%83%80%E3%82%B4%E3%83%B3&qid=1608102452&s=books&sr=1-10

 なんでいまごろ買ったのかっていうと、一年くらいまえにどこかの書評で翻訳の文章がすごくよいと読んだからなのだけれど、いま良い翻訳というものに出合う機会が少なくなっているように思えて、きっちりした文章を読まなければと思ったからである。それにしてもひとに譲る表紙ではなかったのだけれど。しかし、価格が手ごろだったのには、こころから感謝する。スワンウィックの『大潮の道』や、グリフィスの『スロー・リバー』など最高のSF作品も、いま、Amazon では1円とか30円で売っているのだ。作品の質と価格が釣り合っていない。世のなかのいろいろなものが釣り合っていないような気がする。


二〇二〇年十二月二十五日 「世界のもうひとつの顔」


 自分のコメントが反映しているかどうかを見るために、Amazon で、アルフレッド・ベスターの『世界のもうひとつの顔』を検索したら、ちゃんと反映していたのはともかく、いま、30000円もしているのにびっくり。30000円の価値はないと思う。
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%AE%E9%A1%94-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4488623034/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%AE%E9%A1%94&qid=1608913064&sr=8-1


二〇二〇年十二月二十六日 「ピー・アイ・マン」


 ベスターの短篇集なら、かぶっているものが多い、奇想コレクションの『願い星、叶い星』がもっとやすくで売っているのだから。

https://www.amazon.co.jp/%E9%A1%98%E3%81%84%E6%98%9F%E3%80%81%E5%8F%B6%E3%81%84%E6%98%9F-%E5%A5%87%E6%83%B3%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4309621856/ref=pd_sbs_6?pd_rd_w=PGwO1&pf_rd_p=c295905f-82f9-4d73-8142-c393a4211258&pf_rd_r=R0E763WSCCJ41JNENAFA&pd_rd_r=f1df1865-91ca-469c-93a8-8a78b63ddd37&pd_rd_wg=8Cj5A&pd_rd_i=4309621856&psc=1

444円だ。

『世界のもうひとつの顔』と同じ内容のもの、以前に、『ピー・アイ・マン』というタイトルで出されていたものは、同じ Amazon で、200円から売りに出されている。30000円とは、読書家をバカにしたような値付けだ。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%B3-%E5%89%B5%E5%85%83%E6%8E%A8%E7%90%86%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4488623026

 それに、単行本『願い星、叶い星』に2篇を足した文庫が新刊本でまだ手に入るのだ。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%81%AE%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0-%E3%83%99%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%82%91%E4%BD%9C%E9%81%B8-%E5%89%B5%E5%85%83SF%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4488623050

 文庫本の『イヴのいないアダム』これは、ぼくは持っていない文庫であるのだ。単行本に新たに2篇加えたということに腹を立てていたからだ。こういう商売はいただけない。腹が立つ。

『世界のもうひとつの顔』1000円で売っているネット古書店があった。こういう存在に、ぼくは救われたような気がするんだな、ほんと。

https://talkingbook.theshop.jp/items/29257789

 いま、Amazon で、『80年代SF傑作選』下巻が5000円、『90年代SF傑作選』下巻が7989円というのが底値なのにも腹が立つ。毎日、ネット古書店で検索かけまくって1000円代で、なんとかぼくは手に入れたけれど、これらの値付けも読書人をバカにしてるなって思う。

 古書値の値崩れを期待している本が2冊あって、上巻は値崩れしているが下巻がまだまだ値段が高い本があって、それらも毎日のように Amazon を見て調べている。なんという本かは書かないけれど、SF小説ではない。

Amazon 以外のネット古書店では売っていない本なのだ。残念。

 Amazon で注文していた『暗黒神ダゴン』が到着した。本文はきれいだったけれど、表紙に剝れなどがあり、並下かな。ちょっと機嫌が悪くなる。
https://pic.twitter.com/6kUusI7v2R


二〇二〇年十二月二十七日 「ツインキャスター」


 2作目は、ポール・ディ=フィリポの「ツインキャスター」手のさきから念動力で、顔の整形などができる能力を持った医師が主人公。同じ能力を持った女性に復讐される物語。さいごは和解してチャンチャン。

 3作目は、キム・スタンリー・ロビンスンの「石の卵」大型バスで移動する主人公。ある場所で、そこを掃除し、自分の仕事場にする。客は人造人間たち。物語は短く、説明がほとんどない。


二〇二〇年十二月二十八日 「いまは選ばないことにしています。」


@saginuma_2012 死ぬことも選べますが、いまは選ばないことにしています。


二〇二〇年十二月二十九日 「親に捨てられる夢を見た。」


 親に捨てられる夢を見た。子どものぼくをデパートに置いてきちゃうっていう夢。それとも迷子の夢なのかな。


二〇二〇年十二月三十日 「ただ部屋に閉じこもっている。」


なんの予定もなく、読書をする気分でもなく、ただ部屋に閉じこもっている。


二〇二〇年十二月三十一日 「ふるさと遠く」


 ウォルター・テヴィスの『ふるさと遠く』がようやく適切な価格1112円になっていることに満足。いままで60円とかひどい低価格だった。質に合わせた価格が読書人にはのぞましい。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E9%81%A0%E3%81%8F-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%83%86%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9/dp/4150106835/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E9%81%A0%E3%81%8F&qid=1609399390&sr=8-1



自由詩 詩の日めくり 二〇二〇年十二月一日─三十一日 Copyright 田中宏輔 2022-06-27 00:01:03
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