王冠
ひだかたけし

緑の枝葉がやすらっている
熱風に揺らぎ艶々と
太陽は宙空で爆発を繰り返し
燦々と大地に光を注いでいる
俺はとっくに国を追われ
家来をなくし彷徨っている
光の午後を、人々にまぎれ
細切れの記憶を辿りながら
更地となった過去を巡る

わたしは独りにならなければならなかった
王冠は廃棄されなければならなかった
肉は魂を殺さなければならなかった

そうして俺は剥き出された
雪降る宇宙の果ての果てに

夏の空は何処までも青く
熱風に揺らぎ艶々と
緑の枝葉がやすらっている
太陽は輝き爆発し続け
遂に俺は何処にも行けなかった
遂に俺は何処にも行かなかった



自由詩 王冠 Copyright ひだかたけし 2022-06-25 18:30:34
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