王冠
ひだかたけし
緑の枝葉がやすらっている
熱風に揺らぎ艶々と
太陽は宙空で爆発を繰り返し
燦々と大地に光を注いでいる
俺はとっくに国を追われ
家来をなくし彷徨っている
光の午後を、人々にまぎれ
細切れの記憶を辿りながら
更地となった過去を巡る
わたしは独りにならなければならなかった
王冠は廃棄されなければならなかった
肉は魂を殺さなければならなかった
そうして俺は剥き出された
雪降る宇宙の果ての果てに
夏の空は何処までも青く
熱風に揺らぎ艶々と
緑の枝葉がやすらっている
太陽は輝き爆発し続け
遂に俺は何処にも行けなかった
遂に俺は何処にも行かなかった