虹の根元
ひだかたけし

雨が上がった街に
人が通り過ぎる、車が通り過ぎる

僕は窓辺で見ている

にわかに大地が割れるのを
見果てながら
彼らは何処に向かうのだろうかと

 遥かな地平に虹がかかる
 俺は虹の根元を手探りする
 すっかり両手は七色に染まり
 虹の根元は掴めない
 スルリスルリ逃げていく
 まるであの世と繋がっているようだ
 まるであの世に入っていくようだ

雨上がりの街角を
手繋ぎ笑顔でカップルが行く
陽射しを受けた横顔はとても幸せそうだ

僕は窓辺で見ている

カッと割れる大地に立ち尽くし
カッと割れる大地にくず折れて








自由詩 虹の根元 Copyright ひだかたけし 2022-06-01 09:39:13
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