囚われのエインスベル(七)
朧月夜

さて、どうしてエインスベルを救出しようかと、盗賊ヨランは考えていた。
常套手段からすれば、監獄の監守を篭絡することが得策だろう。
しかし、それだけで上手くいくのだろうか?
エインスベルが拘禁されている、リーリンディアの監獄には、

あるいは、幾種もの罠がめぐらされているかもしれない。
それに、リーリンディアの監獄は、ナルムの洞窟と同様に、
魔法素子の薄い土地にある。閉じ込めるのは容易い、
そして逃げるのには難い、それがリーリンディアの監獄なのである。

盗賊ヨランは、数週間の時をかけて、情報を集めた。
そして、一人の仲間を得る。彼の名は、リグナロス・アルテ。
ハーフ・オークである。リグナロスは、当時リーリンディア監獄の監守をしていた。

しかし、情勢はリグナロスにとっても微妙だったのである。
リグナロスは、いわゆるエインスベル派だった。祭祀クーラスには疑義を持っていたのである。
「この国を率いるのは、奴にはふさわしくない」それが口癖だった。


自由詩 囚われのエインスベル(七) Copyright 朧月夜 2022-05-30 17:23:00
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クールラントの詩