五月の夜
塔野夏子
闇に
幾人もの私が
ほどけて
緑と水の匂い
翅あるひとの気配が
呼吸にいりまじる
ほどけゆくままに
ひとつ
ふたつ
ともる
ほたる
風
になるかならないかの
空気の動きを
しずかに
奏でる指
遠く
時鳥の声
自由詩
五月の夜
Copyright
塔野夏子
2022-05-27 13:02:09