風見鶏の歌
ひだかたけし
のんびり呑気な春の午後、
わたしは歯軋りしながら布団のなか
つかの間の均衡に憩っていた
虚しい色の風見鶏
誰かそれを呼んだのか
昨夜は本当に惨かった
疼痛宿痾の眼底痛
狂う、も自殺も切迫して
痛みの嵐に耐えていた
夜明けまでずっと耐えていた
ひたすらじっと耐えていた
(傷口に塩を揉み込むような激痛が
ギチギチギチギチ沸き起こる)
虚脱の色の風見鶏
誰か彼を呼んだのか
のんびり呑気な春の午後
わたしは歯軋りしながら布団のなか
つかの間の均衡に憩っていた
外では紫陽花の花房が
ゆらんゆらんと
揺れていた