あの青く遠い浜辺まで
ひだかたけし

遠去かっていく
生きて在ることの不安が恐怖が
宇宙の気流に洗い流され
つかの間
姿を消す
わたしの背中のなかへ
わたしの脳髄のなかへ
わたしの心臓のなかへ  

そうしてわたしは再び独りになる
風に吹かれ遠い浜辺で躍って
青い海と一つになる
胸の内の予感が狂気を乗り越え
もう一つの現実に接近し
死の願望を削ぎ落としていく

 エクスタシーを超えろ
 無生物への退行を超え
 輝く源頭へ遡行し
 黄金の鍵を手に入れよ

雨は今夜もまた降り続く
わたしに課せられた在るの重荷
背負っていかなければならない

あの青く遠い浜辺まで










自由詩 あの青く遠い浜辺まで Copyright ひだかたけし 2022-05-19 22:31:14
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