あの青く遠い浜辺まで
ひだかたけし
遠去かっていく
生きて在ることの不安が恐怖が
宇宙の気流に洗い流され
つかの間
姿を消す
わたしの背中のなかへ
わたしの脳髄のなかへ
わたしの心臓のなかへ
そうしてわたしは再び独りになる
風に吹かれ遠い浜辺で躍って
青い海と一つになる
胸の内の予感が狂気を乗り越え
もう一つの現実に接近し
死の願望を削ぎ落としていく
エクスタシーを超えろ
無生物への退行を超え
輝く源頭へ遡行し
黄金の鍵を手に入れよ
雨は今夜もまた降り続く
わたしに課せられた在るの重荷
背負っていかなければならない
あの青く遠い浜辺まで