六月
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花の中で にぎやかな
虫たちの胸に
汲みあがった 蜜を
言い表す ことばはない
真昼の 宇宙の
香りをまとい
きらきら踊る
途切とぎれの 感情
そして飛び去る
張りめぐらされた
網の目の 雫を吸い
甘い空缶を くぐり抜け
林の果にひらくという
いち枚の葉裏で
濡れた鱗粉を
しずかに乾かせる 六月

わたしは 走る
あなたの 電離を
確かめに 落下する雲に
今年はじめの蜉蝣が
無事に離水した
こんなにうれしい舞は
見たことがない
魚たちも
鳥たちも
誰も狩らずにいて欲しい
あの空に
音なく降る 雨の中
細く砕かれた 雫と
還る さびしさも連れて
薄い影はいらない
六月



自由詩 六月 Copyright soft_machine 2022-05-19 20:11:49
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