春の青大将
ひだかたけし
ついこの前まで
白い花を咲かせていた樹木が
早くも新緑へと移り変わり
午後の日差しに照らされて
青々と輝き揺れている
その木の根元を
春の青大将の群れが
唸りを上げて進んでいく
私ははたと
死んだ母のことを思い出す
壊れたまま死んでいった母のことを
遠くから
規則的に杭打つ木槌の音が響き
胸いっぱいの懐かしさが込み上げて
すっと意識が奥まっていく
自由詩
春の青大将
Copyright
ひだかたけし
2022-05-13 11:55:53
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