ファシブルの裏切り(三)
朧月夜
「なんと? なぜファシブルが参戦する?」驚いたのは、
カイザー・ネルばかりではない。ヒスフェル聖国のオスファハンも。
オスファハンは再び自分の無力を嘆いた。
「わたしが徹底していれば、こんなことにはならなかったのか……?」
各国の軍団長が集まった、軍団長会議が開かれた。
「アースランテ軍はいずれ本国へと撤退するであろう。
しかし、不穏なのはファシブルのほうだ。彼らは何を望んでいるか?」
ラゴスのカイザー・ネルが声高に意見を述べる。
「分からない」それに対して答えたのは、オスファハンだった。
「マリアノス・アリア・ガルデは、一度は、国の舵を穏健化の方向に、
切ったはずだ。それがなぜ、今さら軍国のような真似事をするのか?」
オスファハンにも、今のファシブル国王であるマリアノスの気もちは、
推し量れなかった。一同は皆沈黙する。「おおよそのことを言う。
事態は変化していたのだ、わがヒスフェル聖国が参戦して以来」
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩