だから、生きている(改)
秋葉竹



なにをどうしても
生き尽くすしかないおれの人生
生き倒れたら目の前に
輝く細いアルファベットでネオンの光は
Purple と。

ガキのころ聴いて
心の肌を切られたブルースを
しゃがれ声で歌った凄い歌手が
天国の階段を昇らせてくれた
あのしのつく雨の夢をおもいださせてくれる
ネオンサインは Purple
だから生きている。

紫の空に向かって飛んだヨタカは
ほんとうに醜い顔をして
ほんとうに冷たい心で泣いていたのに
だれもその風を認めてあげなかったから
淋しい夜になったのか?

そんな暗闇のなか、
夏には半裸で濡れちまう
蕩ける夢は、
みてはいけないのか?

いつも、
彼女の綺麗な顔が割れる瞬間に
心の底に湧き上がる死に急ぐ天使たちの魂を
瞳を輝かし、ジィッとみつめるのだ。

けっしておれが死にたいわけではない
氷のほおに、
そっと涙が伝う。

その悲しみを忘れてしまったんだ
そして
忘れてしまったことだけを
いまでも覚えている、
そしてそのことを
二度と忘れない、

夜を生きている。













自由詩 だから、生きている(改) Copyright 秋葉竹 2022-05-12 21:07:28
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