夜の戦慄
ひだかたけし

灰の雲が切迫する
降りだす雨の連弾
無表情な反復に
放擲される
夜の戦慄

深淵が口を開く
絶対的な無力の露呈
剥き出しになる在る
立ちはだかる巨大な壁が
奈落の底へ崩落し続け

可能なのは
内なる魂への
ひたすらな帰依
巨大な闇に巨大な宇宙に
呑み込まれていきながら
圧倒的な眩暈の果てに臨む

剥き出された無力のなかで

眩暈の果てに曝され
私たちが独り掴むもの

私たちが独り掴むもの

  *

灰の雲が切迫する
降りだす雨の連弾
無表情な反復に
放擲される
夜の戦慄






自由詩 夜の戦慄 Copyright ひだかたけし 2022-05-12 19:27:55
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