アースランテの潰走(一)
おぼろん

ゴゴイス・リーゲの率いるアースランテの一軍は、
ヒスフェル聖国の正規軍に向かって、真っ直ぐと突き進んで行った。
「相手を弱小集団と思うな、強力な魔力を持っていると思え」
ゴゴイスのその言葉通り、ヒスフェル聖国の魔導士軍は精強だった。

ヨーラ・テルやジェダイ・ノヴァの魔法を使って、
着々とアースランテの武力を削いでゆく。
「このままでは五千の兵にも負けるかもしれない」
ゴゴイスは焦った。しかし、この他に道はない。

もしも、ルブルス河へと南進していれば、確実に包囲殲滅されていただろう。
自分の判断を、ゴゴイスは疑わなかった。エリス・ガザンデに託された軍団である。
自分の他に、誰がこの軍団を守り切ることが出来よう。

「今は自分の命を守ることだけを考えよ。敵兵を一人でも多く葬れ!」
ゴゴイスの激励に、アースランテの軍勢は再び活力を取り戻した。
「我らには、まだ頼れる指導者がいるのだ」と。


自由詩 アースランテの潰走(一) Copyright おぼろん 2022-05-10 21:16:06
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩