それぞれの戦い(十一)
おぼろん

戦いは混戦の模様に入っていた。そんな時に、
ヒスフェル聖国の偵察兵からの伝令が入る。
「アースランテの軍団長、エリス・ガザンデは戦死した模様です」
「何と? それでは、敵軍の指揮は今は誰が取っているのか?」

「副司令官であった、ゴゴイス・リーゲが指揮を取っているようです」
「ゴゴイス・リーゲ。エリス・ガザンデにも劣らぬ猛将だ。
 それでは、しんがりを務めているのは、アイソニアの騎士か……」
しかし、多重結界を張れるほど、この地の魔法素子は残されてはいなかった。

「魔導士部隊よ。そなたらは、敵個人を屠ることに務めよ」
オスファハンは疲弊していた。国王から賜った魔法石の消耗も著しい。
「この際、悪魔と盟約を交わした兵たちにも、活躍してもらう必要がある。

 カバルナ・クー・ソランの結界を敷け。敵の退路を断つのだ」
オスファハンにはそれなりの矜持がある。ここで半数の敵勢力を葬れば……
彼はファシブルの動向も気にかけていた。「これが本当に良い結果を生むのか?」


自由詩 それぞれの戦い(十一) Copyright おぼろん 2022-05-09 19:12:18
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