それぞれの戦い(十)
おぼろん

アースランテ軍の正魔導士ハミルは、一頭のドラゴンを召喚した。
「まさか! この魔法素子が薄くなっている時に!」オスファハンは叫ぶ。
敵軍は、初めから撤退を決めていたのである。
アースランテ軍は、連合軍の中核を屠ることが目的だったのだ。

「ただちに、ワイバーンを召喚せよ。数は多いほど良い」
しかし、この地の魔法素子は十分に薄くなっていた。
「三十体ほどのワイバーンが召喚できますが、後はいかがいたしますか?」
「敵兵はいくらほどいるのか?」

「おそらく五万五千ほど。あるいは五万人ほどでしょうか」
「それならば、我らが軍にも勝算はある。各自、散開の陣を取れ。
 敵は中央突破を図ってくる。少しでも敵兵の数を減らすのだ!」
 
しかし、アースランテ軍の召喚したドラゴンは予想以上に強力だった。
ヒスフェル帝国の魔導兵たちは、ドラゴンの発した炎によって焼かれていく。
「それにしても、アースランテの主力はどこにいるのか?」


自由詩 それぞれの戦い(十) Copyright おぼろん 2022-05-09 19:11:16
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