それぞれの戦い(二)
おぼろん

そんな折だった。戦士エイソスがこの戦場に到着したのは。
「何ということだ。もう、戦端が開かれているではないか。
 それに、我が方の軍勢のほうが有利に見えるが……」
戦士エイソスは訝しみつつ、見知った者を探す。

乱戦に突入した戦場のなかで、戦士エイソスは、
偶然にも、武装したエインスベルと邂逅した。
「エインスベルよ、生きていたか。状況はどうなっている?」
「当たり前だ。状況は我が軍有利。殲滅戦に入っている」

「なんと。そうなのか?」戦士エイソスは眉根を寄せる。
「戦士エイソスよ、そなたには、隊長を失った兵士たちの、
 指揮をとってもらいたい」エインスベルが言う。
 
「実は、わたしは軍団長に伝えなければならないことがあるのだ」
「そんなことを言っている場合ではない。軍団長の消息も分からない」
「そうだな。今は敵を殲滅することを最優先に考えなくては……」


自由詩 それぞれの戦い(二) Copyright おぼろん 2022-05-06 14:19:25
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