連合軍の反撃(十五)
朧月夜

アースランテの兵士たちは、その空間の裂け目に向かって、
次々と吸い込まれていく。その数、数百。
空間の裂け目は、虹色の球体のように見えた。
そして、徐々にその大きさを縮めてゆく。

数百名の兵士の命が、虹色の球体とともに消えた。
驚いたのは、兵士たちばかりではない。
エインスベルの師、オスファハンも。
「これはまずい。暗黒面に落ちるつもりか、エインスベルよ」

エインスベルは、次々にヒアシム・カインを放ってゆく。
四万人ほどいた、アースランテ軍の後衛部隊は、
次々にその数を減らしていった。まさに破滅の呪文である。

アースランテの軍団長、エリス・ガザンデは歯噛みをした。
「後衛の防御にも気を使っておくべきだった。これは、わたしの落ち度だ。
 全軍、撤退せよ。これ以上の戦闘は不可能だ!」


自由詩 連合軍の反撃(十五) Copyright 朧月夜 2022-05-05 10:19:00
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クールラントの詩