光臨
あらい

山頂の光と影と馨りに届かぬ蛍と傅カシズく、
まるで紙吹雪の鏡写しのような
奇病、らしさ不束にも視線を預ける

薄化粧の貝塚を通り過ぎ 
伝書鳩の半分の血を 
白装束とする臆病な子猫の、
鳥葬の、

さんざくるめく 幸の鳥に跨がりここまで。

赧アカらめる寒風を握る刀傷の
千鳥足の宵とするならば。白雲上、
雀の涙に気づかない水銀燈は今夜も
無意味に爆ぜると仰せになる

在る窖の貉に継ぐ、火の粉は
真実と亡骸を浴びせかけ、毒されたあと

蛇腹宝石箱に刷り込まれ嘔吐いた、
台本の一部は穢れているが
彩管を揮るうは虚妄の沙汰だが
また尋ね回る照度に漆喰を重ねて
暗がりを保湿し極秘に沈黙を被った

逆さ箱入りのアルコールランプが、砂浜に
見る夢は、それでもよいのだろうと

風穴は単線の一報を灰色に匂わす根底に続く
確信犯も色眼鏡にもやはり黄ばんだ
掛け軸の篝窓は渇するだけ、

懺悔と君の嗄声で仮説するのみ

怠慢な治癒と消去法は
数秒後の雨傘に中り大層な命を拵えたが

過去と未来の境
時計塔と実質眺め見られる
蒼海に叩きつける大雨の包囲網を
みずあさぎの背中に、

善と悪、
自由に結ばれる花に実に
死に別れた夏色の一等星を
瑠璃色に点在する人工水晶に思いを馳せ

風来坊は横暴なほころびを繕いながら、
腥い礎をただ眺め嵩んでは経フるらしく。

いにしえとは無地に背骨を黒幕に液状化を 
共感覚に藍色を培いながら。
何れ朽ちるだけの井戸に卵を落としたは

、それはそれは。


自由詩 光臨 Copyright あらい 2022-05-05 00:11:30
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