連合軍の反撃(九)
おぼろん

北辺に敵はいないようだった。そして、工兵たちは優秀だった。
およそ半日ほどで、いかだの橋を作り上げたのである。
そして、三時間ほどで全軍が向こう岸へと渡り終えた。
その間、敵の攻撃がなかったのは幸運だったと言えるだろう。

「あとは、ナハテ・ガルに閉じこもっている鼠どもを引っ張り出すだけだ」
アースランテの軍団長、エリス・ガザンデは重々しい口調で言った。
今回、アースランテは攻城兵器を持って来ていない。
砦を落とすにも、数日はかかるだろう。

その時だった。アースランテからの早馬が到着したのは。
伝令は、このようなものだった。「今すぐ、そこから撤退せよ」と。
「なんだと、なぜ撤退なのだ?」ゴゴイス・リーゲが叫ぶ。

「実は、ヒスフェル聖国が参戦した模様なのです。
 ヒスフェル聖国は、我が国に宣戦布告の書状を送ってきました」
「これは厄介な。今我々が撤退しては、敵を利するのではないか?」


自由詩 連合軍の反撃(九) Copyright おぼろん 2022-05-03 06:50:06
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