ねがい
秋葉竹



冷えたお水をちょうだい
胸に沁み入るような
キンキンに冷えた、痛いほどの正しいヤツを

熱いお手紙をちょうだい
読めば君を嫌いにならずにいられなくなる
レトリック無用で、心に突き刺さるヤツを


その朝も僕はたったひとりで起きて
心臓にやさしい音楽を聴かせながら
シャワーを浴びて鏡の中に夢の君を探す
昨夜のうさぎのような赤い目の
なめらかな舌使いの君を想って

君のじょうずな、罪づくりなよろこびの声は
僕のプライベートを寂しく彩り刺し殺してくれる

カードの中に棲むジョーカーの微笑みを
いたずらっぽく僕に向けてくれる妖精の匂いもする

僕の青春をビリビリに感電させた罪は
許してあげるから、僕にとっておきの嘘をちょうだい

白いメッセージならスッキリと信じていられるはず
ただ君のことを好きッて言いつづけられれば
それだけでもいいんだけど

それだけでは我慢できない愛もこの部屋の空気に
しっかりと、しっとりと、甦っていることを
この疼いてしまった心にまで教えてほしい、今夜、
この部屋の空気が変わるまで、
君を待ってるから



そういう夜を、けれども、世界では認めてくれない
だから僕はこのほかにはなにもねがわない

冷えたお水をちょうだい
胸に沁み入るような
キンキンに冷えた、痛いほどの正しいヤツを

熱いお手紙をちょうだい
読めば君を嫌いにならずにいられなくなる
レトリック無用で、心に突き刺さるヤツを














自由詩 ねがい Copyright 秋葉竹 2022-04-30 10:21:36
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