四月最後の静かな朝
山人

情景は語彙を求めていたが、それはただ、うなだれて瞼をとじていた
季節は何度も密会を続け、新しい季節が生まれ、産毛を生やしている
空気の隙間を鵯の鳴き声が斬り裂いていく
列島は黄金色に包まれているという
切り取られたワンショットが洗脳する
上澄み水の上を人が通る
薄く張られた膜のようなところだが誰もが通る道である
上と下に分けられた、そのはざかいは何かによって定められた

四月最後の日、地球は終わらない
なにかが始まるでもなく
特別な発話がされることもない
重力のない一日が始まるだけだ



自由詩 四月最後の静かな朝 Copyright 山人 2022-04-30 06:02:01
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