<虹色の湖>
サダアイカ (aika)

とあるところに、<虹色の湖>があるのです
光の加減ではなくて
なんの具合なのか水の色が様々に変化して
それは汚染ではなくて
自然の現象なのですから
たくさんの観光客が見物に行くのです
から、<虹色の湖>の虹色というのは
キャッチコピーなわけですが
大げさに思われるかもしれませんが
あながち嘘でもなくて
架空な湖ではなくて
明らかに異なる色合いになる湖なので
 肉眼でわかるほどに
ここ数年で私は石になりました
石には色がありません
ただ重い
暗い硬い石です
石はカビているのかもしれません
石がカビるのかどうか知りませんが
人間はカビるのです
人間の石はカビるのです
生き物なのでカビてしまうのです
カビは変化し続けます
<虹色の湖>のように自然に
白になり青になり黄色になり赤になり
黒になり
カビは金属をも融かす
カスのように
感じるのです
人間の
石ですから砂ですね
埃が舞います
目も開けられない
息も出来ない
砂塵
 やっぱり
その湖で生き物をみたことがありません
泳ぐ人もありません
毒なのでしょうか
 わかりません
薬を飲むと痛いのが治って
治ると言う言葉が正しいのかはどうかは
私にはわかりません
石ですから
ただ痛いを感じなくはなります
肉眼では見えません
痛いも治るも見えません
見えるのです薬だけが
前の薬のせいで皮膚がぼろぼろで
治すには別の薬が必要なんですか?
治るは新しい症状の始まりなのですか?
いつ終わるのですか?
終わるの?いつか終わるの?
ですよね?
それはなんですか?
手術しなくていいんですか?
平均値を少し超えてますねって言いましたか?
え?お酒飲んでましたか?って言いましたか?
お酒なんて飲んでません
なんのことですか?
 血液は赤です
よくわかりません
訊くこともできません
聞いてますせん
せんせい
「二週間分の薬出しておきますね」
とか
「いっぺんに飲んだりしないよね?」
とか
顔を見ないで言うので
せんせいは人間なんだと思います
見ないのではなくて見れないのでしょ?
私は石でも自分で死んだりはしません
治ろうと治ろうとこんなにも必死なんです
ちっとも元気になれずに
こんなにも懸命なのに
歩いても歩いても
蟻地獄って砂で
石で出来ているんで
あぁ私は石だった
もう許してください
石は自ら砂になったんじゃない
のに観光客でいっぱいの病院は
処方箋の紙でカビは七色で
 虹は毒なのでしょうから
しばらくたいそうしばらく
行ってません
ただ
たいそう不思議なこととは
とても美しいんだ
と私はそこで知ったのです
ええ、ただの
<虹色の湖>のお話です


自由詩 <虹色の湖> Copyright サダアイカ (aika) 2003-11-26 05:44:20
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