ヒスフェル聖国参戦(十二)
おぼろん

「汝は誰か?」フランキス・ユーランディアは訊いた。
「我は、軍国ラゴスの正魔導士、エミル・アザル」
「それがアイソニアの騎士とどういうつながりがあるのだ?」
「わたしは一度アイソニアの騎士を取り逃がしている」

「つまり雪辱戦という訳だな。一度負けた者が勝てると思うのか?」
「負けた訳ではない。ただ、倒せなかったのだ」
「それはわたしも同じだ。ここにいる者たちは、
 すべてアイソニアの騎士と戦う宿命を持っているという訳だ」
 
「その通り。エインスベルよ、そなたもすでに彼が敵だと心得るが良い。
 アイソニアの騎士はアースランテの千人隊長となったのだ。
 甘く見て見過ごせば、多くの味方の兵が倒れることになる」

「分かっている。今、アイソニアの騎士を仲間だとは思っていない。
 彼には、グロリオサの花を手渡したのだ、すでに別れは済んでいる」
エインスベルは無表情に答えた。


自由詩 ヒスフェル聖国参戦(十二) Copyright おぼろん 2022-04-28 13:23:52
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