ヒスフェル聖国参戦(六)
朧月夜

アースランテからの援軍が出発したという報せは、
半日ほどで双方の軍団にもたらされた。
アースランテの兵たちが活気づいたのは言うまでもない。
一方で、ラゴスとクールラントの軍勢は焦慮した。

「今、我々にはいくらの軍勢が残されているのか?」
ラゴスの軍団長カイザー・ネルは叫んだ。
「四万五千ほどです」兵士の一人が報告する。
「それだけか。それでは、敵の援軍が来ればほぼ倍の差になる」

カイザー・ネルは熟慮した。このままアジェスの森で戦い続けるべきか、
それともナハテ・ガルの丘まで後退すべきか。
しかし、もしもアースランテの軍団が直接ラディアに攻め入ったとしたら?

その時だった。ヒスフェル聖国からの早馬が到着したのは。
その書簡にはこう示されていた。「我々はアースランテとの戦争に参加する。
ラゴスとクールラントの同胞諸氏、しばし待たれよ」と。


自由詩 ヒスフェル聖国参戦(六) Copyright 朧月夜 2022-04-26 13:14:06
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クールラントの詩