アジェスの森の戦い(十三)
おぼろん

そのころ、アースランテの王ハッジズは逡巡していた。
「帝都を守っている兵士を、援護に向かわせるべきか」
アジェスの森での戦況は、早馬によって半日ごとに報されていた。
それによれば、双方の軍隊とも消耗戦になっているという。

グリンディアのデーモン、ラーディガンとの盟約は、
「このライランテ大陸のすべてを制圧する」というものだった。
今、前線を後退させれば、ナゴスの南半分は占領出来るだろう。
そして、また数年のうちに北へと攻め入れば良い。

しかし、ファシブルの動きはどうだろうか。
いかに穏健化したとは言え、ファシブルの軍隊も脅威である。
「余は、何か道を踏み外してしまったのだろうか」

長い時間をかけた熟考の末、ハッジズは、
首都防衛軍を、アジェスの森へと増援に送ることを決断した。
「さて。この決断は正しかったか、誤っていたか。未来に聞くしかあるまい」


自由詩 アジェスの森の戦い(十三) Copyright おぼろん 2022-04-24 12:49:39
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