うわばみと星座売り
凪目

とうとう世界を飲み干しつくし
おもてと裏がひっくり返った
夜の真ん中渇きにあえいで
おのれの尾っぽに喰らいつく
うわばみ
うわばみ
おまえのからだは門になった
無限につながる扉になった
そうしておれはおまえの中で
星詠みをしてくらすのさ
あれはかがみ座、あれがたまご座……
いったん戻って線を引く
今また引いてまた消した
そうしてつないだおれの星座は
鈍くひかって砕け散る
欠片は腸を引っ掻いて
腸は欠片を引っ掻いた
すべるつぶては骨まで溶かされ
真っ赤な海をこだまする
星詠み
星詠み
われわれの血の巡りゆく間に
まばゆい宵はさめるだろう
われわれの血で溺れないうち
永い夜明けはくるだろう……
星座売りはかく語りき!
ぼくは今朝街頭で目のないへびから
こういう話を買って帰った


自由詩 うわばみと星座売り Copyright 凪目 2022-04-22 10:29:49
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