アジェスの森の戦い(六)
朧月夜

やがて、両の目をつぶされたドラゴンたちは怒り狂った。
そして、闇雲にあたりの森を焼き払っていく。
「これは、危険な状況だな」黒色槍兵団の団長ユディアスは、
軍団長であるカイザー・ネルに向かって言った。

「いえ、心配はございません」そこに口を挟んだのが、
ライランテ一とも呼ばれる魔導士、エミル・アザルである。
「ここはガイザ・ネルを使います」ガイザ・ネルとは、
通常は敵兵の心をコントロールする呪文である。

エミル・アザルは、それを二体のドラゴンに適用しよう、
と言ったのだった。ユディアス・ガーランドは唸る。
「森を焼き払いすぎても、相手の弓兵隊の有利になるだろう」

「それは心得ております。火炎の魔法はこれくらいにしておきましょう」
エミル・アザルは不敵に笑う。今は、彼がドラゴンたちの目だった。
「まずは弓兵隊と弩兵隊を狙って、攻撃させます」


自由詩 アジェスの森の戦い(六) Copyright 朧月夜 2022-04-21 11:31:18
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩