白い足音
ひだかたけし
薄日の白い道が伸びている
わたしはひたすら歩いている
薄日の白い道が伸びていく
わたしはひたすら歩いていく
到達点は何処にもない
ただ懐かしい道のりがあるばかり
ただ憧れに充ちた道のりがあるばかり
あなたを見つけることはない
あなたに達することはない
あらゆる比喩の後ろに隠れ
比喩としてしか現れないあなた
魂を共感に浸すとき
かろうじてその足音を聴く
迫り来る白い足音が
比喩の回廊に響く
薄日の白い道が伸びている
わたしはひたすら歩いている
薄日の白い道が伸びていく
わたしはひたすら歩いていく
自己耽溺の罠は解けたかい?
自己耽溺の夢は溶けたかい?
遠い山陵へ翼を飛ばすように
逃れいく主体が問い掛ける
解放された夢に包まれたかい?
解放された現に溶けたいかい?
白い足音に満たされて
白い足音を追いかけて